善き人のためのソナタ

映画『善き人のためのソナタ』を見ました。
東ドイツの日常を描いた作品です。

まず、歴史的な史実をお話します。
東ドイツは、1977年に、自殺者数を公表するのをやめました。
結果、ハンガリーが自殺者数一位に躍り出たわけす。
ここには言うまでも無く、東ドイツ当局の、内情秘匿の意図が存在する。
本作品は、この事実を西側に伝えようとした作家の物語です。

細かな内容はいいので、面白かった部分だけ紹介します。

東ドイツでは、当局による盗聴が頻繁に行われていました。
反体制的だとの疑いをかけられた場合、すみずみまで観察されて。
主人公の作家も例外ではなく、始終監視。
監視された内容は、レポートにまとめられ、公文書として保存されました。
もちろん、そのことに主人公は気付いてない。

時は経ち、ベルリンの壁崩壊。

体制が変革すると、前体制では、機密だった文章が公開されます。

主人公は、自分だけなぜ盗聴されなかったんだろうという疑問を持ち、公文書館を訪問。
(盗聴されてなかったと思い込んだのは、彼の西側の雑誌への東ドイツ自殺率の投稿が成功したから)
すると、実は、自分のデータも詳細に記録されている。

この、自分を体制がどう観察していたかを見ることができる、という事実が非常に面白い。
勿論、内容は、週刊誌顔負けの過激さを誇っており(恋人との会話の後、何時何分にセックスを開始し…みたいなことまで記録されている)公開されるに忍びないものですが。

まあ、全体としてみると、そんなにお勧めしようという映画ではありませんけどね。
共産主義体制下の息苦しさが感じられる作品でした。

久々に映画を見たので、一筆書いておきます。